お知らせ

2023年 新年のご挨拶

2023.01.14

無茶々園は48年目の春を迎えることができました。これも皆様方のおかげです。ありがとうございます。新型コロナウイルス感染症は、やっと収束したかと思いましたが第8波が拡大。ウイルスとの共生の課題はまだまだ続くようです。無茶々園では昨年4月から抗原検査を活用しながら従来の交流+リモート交流を積極的に進めて参りました。そんな中で感じたことはやっぱり実際に会って語らいあう交流・学習でないと物足りない、心に響かないという結論でありリアルの大切さを学んだ一年でもありました。

 

対面での交流の様子。お互いの熱い思いが伝わりやすい。

 

地元中学生の収穫体験。

 

昨年はなんといってもロシアによるウクライナ侵攻が世界を震撼させました。円安も重なって食料・エネルギーの高騰をはじめ半導体などあらゆる分野で物不足、価格高騰が相次ぎ、私たちの暮らしはより困難さを強いられています。無茶々園も生産資材・販売資材の高騰で商品価格を値上げせざるを得なくなり、皆様にはご理解をお願いした次第です。国内経済も打撃を受けており、正規雇用比率が低い若者を中心に生活困窮者が増加しており、今後の事業にも影響を受けることを覚悟しなければなりません。

また日本の政治は防衛力の強化や相次ぐ大臣の辞任など政治不信はますます増大し、政治に期待しないあきらめムードが蔓延しています。一方スポーツ界はサッカーワールドカップの日本選手の活躍や流行語大賞にもなったヤクルトスワローズの「村神様」こと村上宗孝選手の3冠王(日本人本塁打記録更新)など、感動と勇気を与えてくれました。またSDGsやエシカル消費といった話題が日常化し、若年層を中心に他者への配慮や多様性の尊重、環境活動など持続可能性を尊重する機運が高まりつつあり、期待したいところです。益々不安要素が絶えない2023年のスタートではありますが、楽しい明日が来ることを信じています。

 

農家の代表・宇都宮幸博(真ん中)、副代表の亀井亮太(左)、宇都宮司(右)。

 

いつも笑顔の生産者、高岡勇治。今期は温州みかんの品質も良好でした。

 

さて、私たちの2030年ビジョンを昨年9月の総会で確認しました。5年間新年のあいさつで書かせて頂いたものを、くどいようですがいま一度書かせていただきます。これまでどおり持続可能な地域社会を創造すること、そしてこれまでにも増して環境にやさしい農業(カーボンニュートラル・農薬総量削減など)を目指すことです。

農水省のみどりの食糧システム戦略の中身を読み取ってみると、持続可能な農業、環境負荷を与えない農業への転換、特に有機農業を2050年に全耕作面積の4分の1を目標にすることや、持続可能な肥料(海外依存からの脱却)、環境負荷低減できる農業の価値位置づけが明記されています。戦後の商業的単一化した儲かる農業戦略からの歴史的な方針転換だと言えます。

 

さらに、2021年12月に労働者協同組合法が成立され、2022年10月1日法施行されました。働き方、暮らし方、コミュニティの在り方も、協同労働という運営方式を取り入れ持続可能な地域社会を創造する機運が全国で生まれるでしょう。そして環境省の地域環境共生圏構想は、無茶々園が消費者や生協の皆さんと培ってきた産直そのものを意味するものであり、私が提唱しているコミュニティ産直(新しい生産・消費の関係性)を意味していると思うからです。無茶々園の歴史的な取り組みが「世の中のモデルと言われるようになった」という事でもあります。だからこそ、都市と田舎(海外も含め)、自分たちの将来を自ら創造し、安心して暮らせる地域を地域住民や行政と共同して作る必要があるのです。

無茶々の里は昨年もいろいろありました。総務省の令和 3年度ふるさとづくり大賞で〔団体表彰〕を受賞。人にも地球にもやさしいコスメを表彰する「サスティナブルコスメアワード2021」 にて、「伊予柑しっとり石鹸」が製品部門最高賞のゴールドを受賞しました。そして、持続可能な地域づくりのモデルとして、BS朝日の番組“バトンタッチSDGsはじめてます”で紹介されました。私たちの実践してきた産直(生産と消費の関係性)という事業や運動が社会の一つの町づくりモデルとして認められたと実感しています。消費者の皆様の共感によって成し遂げられたと感謝しています。みかん山では、珍しくカメムシの発生が少なく、秋晴れ続きで糖度の高いおいしいみかんをお届けすることができました。

 

福祉事業では、昨年4月から事業継承したグループホーム明浜館の運営も順調に推移しています。ただ、高齢化による人口減少やコロナ禍の中での重労働などで介護の担い手不足が課題となっています。そこで、今までの農業実習生の経験を活かして、昨年11月からベトナム介護実習生2名が共に学びながら働いてくれるようになりました。無茶々園グループ全体で職員140人、関係する生産者176名で新年をむかえました。令和5年、無茶々園は設立50年に向かって無茶々園の2030年ビジョンを完成させます。

 

宇和選果場での選果の様子。

 

農家とともに働く海外実習生(真ん中ふたり)。彼らのちからは地域農業の維持に必要不可欠です。

 

目指すところは、FEC自給圏構想、エコロジカルな町づくりと大きなビジョンは変わりませんが、具体的には次世代のリーダーたちに託したいと思います。想像してみてください。この西予市明浜町の2030年の姿を!時間がゆっくり進み、だれもがのんびり生活している。リモートワークなどの新しい働き方を実践されている取引先の方々が年間300人訪れ、新しい交流が生まれている。ロボットや海外の人達もいっしょに生活している。リアルとバーチャルが共存し、人々の暮らしを豊かにしている。妥当な経済、妥当な賃金、妥当な暮らしが実現されている。これこそが、農水省や環境省が掲げている姿そのものと言えるでしょう。そんな社会を実現するためにも、多くの方たち(都市生活者や世界の人々)と共感し、つながることで少しずつ世の中が変わっていく、そして、気候危機は待ってはくれません。今からやれる取り組みから始めましょう。そして共感の大きな輪でもって、行動できれば成就するはずです。共に努力しましょう。

 

無茶々園はこれからも10年、20年後の未来の子どもたちのために、小さな多くの種まきをし、日本一の町づくり集団を目指します。無茶々園でよかったと言えるように!どうか皆様もこの田舎再生運動に参画していただき、活力ある日本にしましょう。

 

株式会社地域法人無茶々園 代表取締役社長 大津清次

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