ゆずについてのアレコレ
豊かな酸味とさわやかな香りが印象的な「ゆず」。料理を彩る食材として利用することはもちろん、果実まるごとをお風呂にいれて体を温めるなど、幅広い用途で私たち日本人に親しまれている柑橘です。その人気はいまや日本国内だけに止まらず、ヨーロッパやアメリカをはじめとする世界各地に広がっています。
その原産地は中国は揚子江の上流あたりといわれ、日本には奈良時代に伝来したそうです。当時は薬用などの用途で栽培されていたそうですが、生産の普及とともにその酸味や香りを活かした様々な用途が見いだされ、1,300年以上にわたって私たちの暮らしを豊かなものにしてくれています。
現代の日本において産地としてよく知られているのは、高知県や徳島県。柑橘の中でも比較的耐寒性が高い品種ということもあり、愛媛県でも標高が高い山あいで栽培が盛んに行われています。
樹成りのゆず。その枝には鋭いトゲがあるので収穫の際は要注意。
無茶々園のゆず事業
無茶々園が本格的にゆずの生産・販売に取り組み始めてもう20年以上が経ちました。現在の取扱い量は年間30~55トンほど。これは数ある柑橘のなかでも10本の指に入る数量です。生産を担うのは明浜から2時間ほど高知方面へ車を走らせた城川町の農家と、生産者グループ「てんぽ印」。てんぽ印では、松山市の北条園地と西予市にある宇和園地で作っています。城川町は高齢化・過疎化が進む地域ということもあって70歳を越えた高齢者ばかりですが、農家としてはまだまだ現役。厳しい天候が続くなか、元気にゆず栽培に精を出しています。一方でてんぽ印のメンバーは20代~30代の若者ばかり。改植も進めながら、次世代のゆずを担うべく生産にまい進しています。
古くからのゆず農家のひとり、今井正歳さん。16歳から農業をはじめました。
ゆずの栽培に取り組みはじめて35年の大ベテランです。
ゆずは一般的に加工を前提として事業が組み立てられる柑橘です。実際、無茶々園でも農家たちから荷受けしたゆずの大半を搾汁にまわしています。青果の販売量は作柄にもよりますが、年間5~7トン程度。それ以外は果汁や果皮を活用して加工品づくりにつなげていくのです。昨年は新商品として「ゆずぽん酢」と「はちみつ入りゆず茶」を作り、この11月には「ゆず生姜シロップ」を発売いたします。いずれも原料やレシピにこだわり、ゆずの鮮烈な香り、豊かな風味を活かした自慢の逸品なので、ぜひ一度お試しいただけると幸いです。
2023年11月から新発売の「ゆず生姜シロップ」。豊かなゆずの風味のなかに、生姜の辛味がぴりり。
ゆずの使い方いろいろ
加工用が中心とはいえ、季節を感じる産物として人気の高いゆず。品質が安定しているのは11~12月上旬までと旬の時期は短いですが、その魅力を楽しまないわけにはいけません。幸い今年は豊作傾向。果汁から皮までしっかり活用してさまざまにお楽しみください。
【果汁を使う】
色んな料理の香り付け、酸味付けに使います。ポン酢にしたり、 蜂蜜や砂糖を加えてドリンクにするのもよいでしょう。ゆずを搾る際は皮を下に向けて搾ってください。皮に含まれた精油が果汁にとけこんで、ゆずならではの香りをより楽しむことができますよ。
【果皮を使う】
香りが良く苦味の少ないゆずの皮。表面を薄くむいて刻むと香り付けの薬味に。マーマレードやジャムなど、保存食への加工にも向いています。
【お風呂にいれる】
色や香りを楽しむだけでなく、皮や果汁に含まれる成分が身体を温め、お肌にも良いのです。切って入れるとより成分が引き出せます。