謹賀新年、今年もよろしくお願いします
おかげさまで、今年で無茶々園は49年目の春を迎えることができました。これも皆様方のおかげです。ありがとうございます。コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル・パレスチナ紛争、大規模な異常気象、円安も重なって食料・エネルギーの高騰をはじめあらゆる分野で価格高騰が相次ぎ、私たちの暮らしはより困難さを強いられています。
無茶々園も生産資材等の諸経費が高騰した影響で商品価格を値上げせざるを得なく、皆様にはご理解をお願いした次第です。また、人手不足が無茶々園でも顕著になりつつあり、物流の2024年問題や人材確保が今後の大きな課題となることが予測されます。このままでは日本の農業は成り立たなくなり、食料自給不可能な国となるのではないでしょうか。消費にどう影響するか全く予測できませんが、覚悟をもって取り組まなければなりません。
SDGS やエシカル消費といった話題が注目され、若年層を中心に他者への配慮や多様性の尊重、環境活動など持続可能性を尊重する機運が高まりつつあります。無茶々園49年の取り組みは評価されており、取引先や都市生活者との連携強化により乗り切れるものと考えます。
今年のみかんは味もよく、ご好評いただきました。中晩柑もご期待ください。
新しい取り組みを進める
2023年を振り返ると、6月に無茶々園のグループとしては6つ目の法人格「労働者協同組合 無茶々園の森」を設立しました。協同労働運営をグループ内に広め、地域に必要な仕事を創造するための法人です。例えば、デマンドタクシー(高齢者の交通)、不動産業(空き家問題、移住者用の住宅整備)、便利屋(家の修繕)など地域になくてはならない仕事おこしです。今後は定年退職者や移住者の受け皿としても考えています。併せて西予市が推進する公民館自治センター化(小規模多機能自治)にも参画していきます。ぜひ無茶々園の里に来て頂き、町づくりに参加しませんか?
無茶々園の森での学習会の様子。
11月には西予市の進める明浜柑橘加工場(あけはまシーサイドサンパーク株式会社が指定管理)が完成しました。私、大津が社長を務める第3セクターで、年間1000tの搾汁と生産者別ジュースを主に製造していきます。
あわせて産業廃棄物として処理していたジュース粕を全て堆肥化し、「みかん堆肥」としてみかん山に返します。これこそ地域循環型農業です。無茶々園の加工プロジェクトを成長戦略としても進めます。
新しい明浜柑橘加工場。
堆肥場の様子。みかんの搾汁残渣を堆肥化し、山に戻していきます。
福祉事業では、事業継承したグループホーム明浜館の運営も順調に推移しています。ただ、高齢化による人口減少や重労働などの理由で介護の担い手不足が新たな課題となってきました。現在、海外農業技能実習生の経験を活かして、ベトナム介護実習生3名が共に働いています。
また、現在の光センサー施設の老朽化が進む中、コールドチェーン化を進めていくための新しい取り組みとして西予市宇和町皆田地区に新物流センター建設に取り掛かりました。只今、造成工事(約6000㎡)を行っており、2025年4月の稼働に向けて進めています。
新物流センター(選果場・出荷場)完成イメージ。
現在、土地の造成中です。
他にも新たな環境活動として藻場バンクの取り組みをはじめました。無茶々園(佐藤真珠、祇園丸)明浜漁協、愛媛ダイビングセンターと協力してくろめの藻場を見守っていきます。これらは消費者の皆様との共感・協同して成し遂げられたと感謝しています。
高山地区に設置した簡易藻場礁。
2024年の目標
日本の政治は防衛力の強化や派閥の裏金問題など政治不信はますます増大しています。政治に期待しないそんなあきらめムードが日常化しています。一方で大谷選手らの活躍で野球 WBC 優勝や日本選手の活躍などスポーツ界は感動と勇気を与えてくれました。不安要素が絶えない 2024 年のスタートではありますが、楽しい明日が来ること信じたいと思っています。
2024年の無茶々園は「幸せな人生を送るために、働き生活するのである」を基本の考え方とし「持続可能な地域社会へ(環境省の地域環境共生圏)、環境負荷を伴わない(農水省のみどりの食糧システム戦略)持続可能な農業へ、そんな無茶々の里モデルを仲間と消費者と共に築こう!」というスローガンを掲げ、以下の7つのプロジェクトに取り組みます。
2年間で具体策を検討し、これまでどおり持続可能な地域社会を創造すること、そしてこれまでにも増して環境にやさしい農業(カーボンニュートラル・農薬総量削減など)を目指します。
2016年に実施した40周年式典の様子。
さらに、大津が提唱しているコミュニティ産直(新しい生産・消費の関係性)を具体化したいと考えています。これまでの産直は「生産者」と「消費者」、または「みかん」と「消費」の関係で語られていました。これからは「田舎」と「都市」または「地域」と「地域」を提携関係にするという事です。わかりにくいとは思いますが、「モノとお金」の関係性ではなく、人・お金が循環し、地域経済が回る、人々の交流が回るそんなコミュニティ産直が「世の中のモデル」と言われるようにしていきたい。だからこそ、自分たちの将来を自ら創造し、安心して暮らせる地域を地域住民や行政と共同して作る必要があるのです。
今年も無茶々園をよろしくお願いいたします
想像してみてください。この西予市明浜町の2030年の姿を!時間がゆっくり進み、だれもがのんびり生活している。ロボットや海外の人達もいっしょに生活している。リアルとバーチャルが共存し、人々は豊かな暮らしをしている。旅行で農村へ、都市へ、海外へ仲間のみなさんに会える。そんな社会を実現するためにも、多くの方たち(都市生活者や世界の人々)と「共感」し、つながることで少しずつ世の中が変わっていく。また「気候危機」は待ってはくれません。今からやれる取り組みから始めましょう。
みかん山では、何十年ぶりかの干ばつで枯れた木も多く出ましたが、糖度の高いおいしいみかんをお届けすることができました。来季の不作がちょっと心配されますがみんなで頑張ります。無茶々園グループ全体で職員145人、関係する生産者165名、海外技能実習生20名で新年をむかえました。無茶々園はこれからも「10年、20年後の未来の子どもたちのために、小さな多くの種まきをし、日本一の町づくり集団」を目指します。無茶々園でよかったと言えるように!どうか、皆様もこの田舎再生運動に参画して頂き、活力ある日本にしましょう。
株式会社地域法人無茶々園 代表取締役 大津清次