お知らせ

今期の大問題は干ばつ

2024.01.25

無茶々園の柑橘栽培はこの数年でもいろんな問題、課題に直面してきました。ミカンナガタマムシなど新たな害虫の広がりに加え、2023年の2月にはこの明浜でも氷点下4℃を下回る低温となり、春以降に出荷する柑橘に凍害・寒害が出て出荷量が激減してしまいました。毎年みかん山では予期せぬトラブルに見舞われ、何事もなく一年を過ごせた年はないような気がします。

 

昨年の夏はひどい暑さだったものの台風による被害がなく、9月はじめまでは珍しいくらい健やかに生育を続けてきました。ところが9月以降、例年は秋雨や台風で降るはずの雨がほとんど降らず、みかんの収穫期を目の前にして厳しい干ばつに直面することとなりました。9月、10月の降雨量は平年の15%程度。特に10月9日以降はおよそ1カ月のあいだ降雨がなく、畑の土はカラカラに乾き、(特に潅水が難しい園地では)みかんの樹も葉や果実が萎れていまにも枯れそうな様相に変わり果てます。

 

水が足りず枯れてしまったみかんの木。

 

この渇水のなか、スプリンクラーの潅水設備が入っている畑では継続して潅水が行われてどうにかみかんの樹も樹勢が保たれていました。1967年に発生した大干ばつを受けて整備された南予用水の事業であり、愛媛のみかん作りを支える用水施設。整備が行われて30年以上が経ちましたが、秋にこれほど長いあいだ潅水が行われたことはありません。今年は水のありがたみを身に染みて感じる年になりました。

 

干ばつがいったん解消したのは11月10日過ぎ。ようやく待ち望んだ雨が降って人心地つきました。一部では枯れてしまった樹があったものの、萎れていた樹も回復して植物の生命力の強さを見せてくれています。スプリンクラーの潅水も止まり、紙一重で温州みかんの収穫ピーク時期に入ることとなりました。

 

潅水の様子。潅水設備の作業は農家が協力して行う。

 

柑橘への影響は大きく、どの品種も肥大が進まずに小ぶり傾向となり、収穫量も当初の見込みよりは減ってしまいそうです。水分の吸収が少ないため果実の味はしっかりと凝縮して糖度が高くなりますが、同時に酸味も残りやすい仕上がりとなります。何よりも、干ばつで弱った樹が回復しきらなければ、翌年以降の収穫が低調になってしまいます。樹勢の回復にも気をつけながら、新しい春に向けて準備をしていく冬になりそうです。

 

今年は右側のような小ぶりな果実が多くなりそう・・・

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