産物紹介

真珠×青のり×新入社員

2024.07.24

2019年から始まったアコヤ貝の大量死の原因がビルナウイルス科の新種のウイルスであることがわかりました。ビルナウイルス科はこれまでも魚介類をはじめ鳥類、昆虫類、軟体動物からも発見されていますが、アコヤ貝で病気を引き起こすことはまったく知られていませんでした。解決策はまだないのですが、高水温がこのウイルスを活性化させるという傾向はわかってきました。

 

今回記事を書いてくれた佐藤真珠の佐藤和文さん。

 

私たちも何とかしなければと、県内で比較的水温の低いこの明浜の海域に、試験的に稚貝を移動させるなど対応を続けています。それでも生産量は全盛期の半分くらいです。

このような現状の中、生産された真珠を何とか有効に活用できないかと「ナチュラルパール」を商品化しました。少し変形していたり傷があったり。そんな真珠をお手ごろな価格でネックレスやイヤリングに仕上げました。生産者からすれば、まん丸できれいな真珠も、ちょっと歪で小傷のある真珠も、同じ労力をかけて育てた真珠に変わりはありません。かえって特徴ある珠の方が思い入れは強いくらいです。

そうして企画した「ナチュラルパール」ですが、おかげさまでたくさんのご注文をいただき、日々の作業の励みになります。ありがとうございました。

 

 

ナチュラルパールを使ったネックレスやクラフト用素材を商品化しました。

 

佐藤真珠で青のり事業を始めようと思ったきっかけもこの大量死でした。当時、貝が減り仕事がなくなることはわかっていたので、別の事業を立ち上げて何とか雇用を守らなければと必死でした。まさに背水の陣でしたが、せっかくなら網元祇園丸の加工場も使おう、販売は無茶々園に丸投げ(これで私は生産に集中できた)など熟慮を重ね、青のり事業のスキームを組みました。おかげさまで第2プラントも稼働するなど生産は順調。ゼロからのスタートで、本当に運がいいとしか思えません!

 

この「運」ですが、最近、面白い考え方を知りました。京都大学教授の藤井聡氏による認知的焦点化理論です。人が心の奥底で何に焦点を当てているかに着目した心理学理論で、“運の良さ” を時間軸と人間関係で説明しています。縦軸が時間軸で、現在→自分の将来→子供たちの将来→社会の将来となり、横軸が社会的・心理的距離軸で、自分→家族・恋人・友人→知人→他人と広がっていきます。縦と横に配慮が広い人が得をする(運がいい)、配慮が狭い人は損をする(運が悪い)といった考え方です。要するに、いつも人のために何かしてあげたいと考え行動していれば、困った時に、その人たちから助けてもらうことが増える。その時に「自分って運がいいな!」ということです。

 

 

理論建てしなくても「情けは人の為ならず」と先人は伝えてくれていますが、改めて理解が深まります。そういえば、7年間ほぼボランティアで地域活性化団体の事務局を務めたり、PTA や保護者会の役員も二つ返事で引き受けたりと自分はいろいろとやってきたなあ、だからこその運の良さよ!とすぐに打算的に考えてしまう私は、まだまだ未熟な小人です。冗談はさておき、この青のり事業は多くの人の支えや協力でここまできました。感謝の気持ちを忘れず、これからも驕ることなくコツコツと青のりを作り続けます。

 

真珠から話は脱線しましたが、佐藤真珠に新入社員が入ってきました。前田涼さん、30 歳独身。U ターンで帰ってきた狩江人です。青のり生産を中心に作業していますが、真珠の仕事も掛け持ちです。いつもニコニコ、全力の好青年。趣味の長距離は、マラソンで2時間20 分台を叩き出すなど実業団レベルです。彼が来てくれたのも青のり事業を始めたおかげ。人手不足が深刻な田舎で、こんな良い人材に恵まれた。ほんと私は運がいい!

 

佐藤真珠新入社員の前田涼さん。スポーツマンです。

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