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てんぽ印が目指すところ

2025.03.08

てんぽ印とは

「てんぽ印」とは無茶々園の直営農場部門で、農業に関わりたいと考える人材の受け入れ機関です。

特徴は産物の多様性(柑橘だけに依存せず野菜などの栽培も行っているところ)、栽培した野菜を自社工場で加工し商品化まで一貫して行う「新しい就農モデル」を実践していることにあります。

 

 

 この町(明浜町狩浜地区)の海沿いには公共の駐車場がある。その場所は、ひと昔前までは海だったそうだ。どれくらい昔かというと、まだ現役で農業をしている“おっちゃん”が“思い出話”として語れるくらいの昔。車が普及して置き場に困るほど、海と山に挟まれ、平地の少ない集落。そんな町に移住して、今年でちょうど20年目に入る。

 

  その駐車場のそばには、少し前まで新聞や牛乳の配達をしていた元タバコ屋さんがあり、そこにおばちゃんがいる。20年もいると顔見知りというより、お願いしたり、されたりの関係でもあったりもして、時間がある時はその駐車場で立ち話をすることもある。

 

 「おまえ、いつまでこんなとこにおるんど?(訳:ここにいるのですか)」 「はよ、いねや(訳:街に帰ったほうがいいのでは?)」 必ずと言っていいほど、このフレーズを投げかけられる。そのたびに、「なんでやねん! ここに居たくてここに居るんよ。選んでここに来たんよ」 と返すと、「おまえ、かわっちょんの!(訳:変わってるね)」 とお決まりのやりとりが始まり、そこから世間話が続く。

 

 このおばちゃんにとって「こんな田舎町にわざわざ移住してくる人」は、よほどの“変わり者”か“都会で通用しなかった落伍者”である。なので「はよ、いねや」と言われるのは、ちょっとした自分への好意でもあると勝手に推察しているので仲良くやれている。

 

 

 “地方(田舎暮らし)より都会(都市生活)へ” ずっと当たり前だったこの価値観。 そんな価値観も少しずつ変わってきているなぁと感じる。 それこそ“地方創生”なんてかっこいい言葉が流行る前から田舎に来て農業をしにくるなんて良くも悪くも“変人”ばかりだったけど、この20年で少しずつ、これも良くも悪くも“普通”と言われそうな若者たちが都市から地方に来るようになってきた。

 

 「どう生きるかについて考えること」結局はこれに尽きると思う。 都市には都市の良さや機能(利便性や流動性なんか)それと同じで地方には地方の良さや機能(人との関係性や景色自然とか)があって。もちろん、それぞれに不便さや煩わしさもある。そういうものを体験、理解したうえで自身が持つ好みや相性でどこに住むのか、どう生きるかを選べばいいと思う。 しかし地方、田舎暮らしがいいと思ってもそこに様々な障壁があって、例えば仕事のこととか、家族の理解とか、自身のコミュニケーション能力とか、それと“都市生活が普通、当たり前”という固定概念、社会の風潮。 日本の重要な社会課題である人口減少とその遠因となる東京一極集中と地方の過疎化などなど。

 

 

よい「暮らし」「働き方」「生き方」

 自分自身「よい暮らし」と「よい働き方」があれば「よい生き方」になると感じて、今ここに居る。 安心感をもたらす人間関係のある“暮らし”。 できなかったことができるようになり、それが誰かの役に立つ実感を得られる“仕事”。 ちょっとした興奮と安心感のある“生き方”。 いい仲間といい仕事ができたら楽しい。でも、ギスギスしていたら苦痛な時間の始まり。

前向きに、明るくいたい。でも、ひとりぼっちで元気に明るくやるのは難しい。 仲間にもそれぞれの趣向があり、何に幸せを感じるかは人それぞれ。 でも、やっぱりみんな「かっこいい大人」になって、誰かの憧れ(ロールモデル)になれたら、また新たなつながりが生まれるかも。

 

てんぽ印が目指すところ

 てんぽ印が目指すところ それは“だれもが地方生活、田舎暮らしが当たり前に選択できる社会つくっていくこと。そしてその為の受け皿となる”ということなのだろうなと思う。

 

 

てんぽ印代表:村上尚樹

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