昨年の秋から重ね重ねお伝えしている通り、今年はレモンを除くあらゆる柑橘が大不作です。前半の主力品種である温州みかん・伊予柑・ポンカンは、いずれも前年の半作という惨憺たる結果でした。これから甘夏・ジューシーフルーツといった春の柑橘の出荷がはじまりますが、これらについても例年よりきわめて少ない見通し。今年は農家たちにとって本当に厳しい年となっています。
ジューシーフルーツも成っていません
柑橘の成りが少ないので、加工用の原料も出てきません。特に温州みかんの果汁は非常に少なく、いよいよ在庫が底をつきそうな見通しです。しかも今期搾汁した果汁は作柄の影響もあって糖度、酸度ともにきわめて低調。そのまま瓶詰めして販売するにはちょっと厳しい品質です。
そのため、温州みかんジュース720ml・180ml、みかん伊予柑ジュース720ml、ポンカンジュース180mlの販売については、2025年5月をもって、いったん休止させていただきます。
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その代替品としてご提案するのが「みかんジュース(ブレンド)」。温州みかんをメインにしながらも糖度の底上げにポンカンを、さわやかな風味を加えるためにジューシーフルーツ(=河内晩柑)をブレンドしています。配合比は温州みかん6:ポンカン3:河内晩柑1といった具合。果汁不足という苦境を凌ぐために作ったジュースではありますが、飲んでみるとなかなかに良い仕上がり。様々な品種の特性がバランスよく活きた、柑橘らしい味わいを楽しむことができます。自画自賛ではありますが、ぜひ一度味わってみてください。
かつて国産の柑橘ジュースは、精品として出荷できない柑橘の受け皿として製造されてきました。日本の市場では精品はしっかり値段がつきますが、加工用になるととたんに評価が下がります。そのため、安価で大容量を実現することができましたが、急速な生産量減少によってこれからは困難になるでしょう。ジュース原料用として作付して相応の評価を行う。そんな時代がまさに到来しようとしています。
なお、柑橘の果汁が不足しているのは日本だけではありません。果実の生育不良と樹体の枯死を引き起こす柑橘グリーニング病、干ばつや大雨、ハリケーンといった天候不順によりアメリカやブラジルのオレンジ生産量が減少していることによって世界的に不足しています。スーパーやカフェで販売されるオレンジジュースの価格は軒並み値上がりしていることからもわかる通り、柑橘の価値は世界的に高まっているのです。
このような背景を鑑み、無茶々園のジュースもこの5月から価格を改定させていただきます。消費者のみなさんにはご負担をおかけいたしますが、生産物の評価が上がることは農家にとってはありがたいこと。何とぞご理解くださいませ。
無茶々園は日本の片田舎にある小さな産地ですが、柑橘という産物を通して世界とつながっているのだなとしみじみ思います。国内だけでなくグローバルな状勢もしっかり見極め、消費者のみなさんとも情報を共有しながら、しぶとく生き残るための必要な変化を繰り返していきますので、これからもおつきあいいただけますと幸いです。