明浜に吹く風はまだひんやりしていますが、
山を見ればあちこちに黄色い菜の花や、ピンク色の梅の花。
だんだんと、春が近づいている気配を感じます。
この時期になるとそろそろかな、
と待ち遠しくなるのが、新たまねぎ。
3~4月頃にとれる早生品種のたまねぎを総称して
“新たまねぎ”と呼んでいますが、
通年食べられるたまねぎと異なるのは、
時期だけではありません。
一番の特徴は、たまねぎ特有の辛みが少ないこと。
そのため生のままでも食べやすく、
加熱すればさらにトロリとした甘みが楽しめます。
また、表面の皮が薄くて柔らかいため、
丸ごと調理するのにも適しています。
乾燥や貯蔵はせずに、
採れたてのみずみずしさをそのまま味わう、
季節感たっぷりの野菜なのです。
この時期にしか味わえない、みずみずしさが魅力です。
無茶々園では毎年、おもに明浜町田之浜地区で、
新たまねぎが栽培されています。
今回、取材のお願いをしたところ
「ちょうど、あそこの畑のたまねぎが
よいよ(=とても)、大きなっとるわい」と、
生産者の大中一郎さんが連れて行ってくれたのは、
明浜らしい急斜面の段々畑。
田之浜の絶景スポット、と言ってもいいくらい、
海と山が見事に一望できる場所に、
たまねぎ達が葉を青々とさせて収穫を待っていました。
特に暖かい気候といわれる田之浜のなかでも、
この畑は抜群の日当たりと水はけの良さで、
美味しいたまねぎがいち早く育つんだそう。
葉の下を覗けば、食べ頃ですよといわんばかりに、
きれいな色白が土から顔を出しています。
収穫は一つずつ手で触れて確かめ、
程よい大きさになったものから掘り取っていきます。
たまねぎが育つのにとっておきの地形とはいえ、
やはり苦労はつきもの。
もちろん機械なんて入らないから、
一段一段、苗植えから肥料まき、
マルチ張りまで、すべて地道な手作業です。
重い肥料袋も担いで上まで運ばねばならず、
相当骨が折れるそう。
それでも毎年秋になると、ここに約9,000本
(無茶々園全体では約30,000本)もの苗を植え、
来春の収穫に向けてコツコツと育てていきます。
苗がちゃんと大きくなるか、
冬の寒さや雪に負けてしまわないか、
最後までしっかり肥ってくれるか・・・
心配事は尽きないのですが、
乗り越えていける秘訣はきっと、田之浜の仲良し夫婦、
そしてご近所同士のチームワークの良さにあるのでしょう。
「どうしてここでたまねぎを育てるんかって、
一番は自分らで食べて美味しいからよ」。
大中さんと共に、
たまねぎを作り始めて10年以上になるという土居与次さん。
今年も手間ひまかけて、無事に冬も越え大きくなったたまねぎ、
「たくさん食べてもらってや」と、思いのこもった笑顔でした。
田之浜のたまねぎ農家たち。
さて、田之浜流おすすめの食べ方、一押しは天ぷら!とのこと。
スライスして、お刺身のツマにもよく合います。
また、普通は捨ててしまう葉の部分も、
煮物や汁物に入れて美味しく頂けるのだそう。
焼き鳥のネギの代わりにもなる
(いや、ネギよりも美味しい!)んだとか?
楽しみ方は皆さんのアイデア次第。
たまねぎなら食べ慣れてるよ、という方も、
新たまねぎはやっぱり特別、一年で今だけの味わいです。
ぜひ、ご賞味くださいね。
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