無茶々園の温州みかんもやはり良い年、いまひとつな年がありますが、近年はなお不安定になってきた気がしています。いつもみかんを食べていただいている皆さんも感じるところがあるかもしれません。温暖化と言われて久しいですが、柑橘栽培をしていて特に感じるのが秋の訪れが遅くなったこと。近隣の宇和島市の気象データを調べてみると、20年前に比べて10月と11月の気温は約1℃上がり、降雨量は20%以上も増えているようです。ほかの季節よりも変化の幅が大きく、秋が特に高温多湿化していることが見て取れます。植物は温度や日照、降雨によって動いていくもの。病虫害の発生がなかなか収まらない、果実の着色が遅くなる、傷みが出やすくなるなど、どおりでみかん栽培も昔の通りとはいかなくなってきたわけです。
そして台風の接近などによる極端な気象現象が作柄を大きく変えてしまうことも増えてきました。一昨年には10月末になって大型台風が近づき、大雨と暴風でみかんの収量が大きく落ち込んだのも記憶に新しいところ。かといって毎年雨が多いわけではなく、逆に干ばつとなる年もあり、気候の見極めが難しくなっています。スマートフォンに長期予報や台風予想のアプリを入れてチェックするのがすっかり生産者の日課になりました。
もちろんみかん産地も考えています。よく行われているのが園地の地面に白いシートを敷き詰めて、雨水の流入を防ぎ、日が当たりやすくするマルチ栽培。ただ、急傾斜地や狭い段々畑では設置しにくく、明浜では普及していません。資材を用いる方法だけではなく、果実の管理方法を変える手もあります。無茶々園でも摘果(果実の間引き)のタイミングを従来よりも遅らせ、着果の負荷をかけることで果実の品質を上げていく管理も行っています。また、作る作物を変えるのが根本的な解決策でもあります。暖かい地域で作られてきた品種を導入するなど、あの手この手で気候の変化に追いついていこうとしています。