香りと酸味を楽しむ香酸柑橘の代表品種といえば“レモン”。無茶々園では、ユーレカやビアフランカの系統の品種を中心に植えていますが、レモンに本格的に取り組み始めたのは2010年ごろのこと。これからは国産レモンの時代がくる!と予想した代表の大津清次が、レモン増産計画の号令をかけたのがはじまりです。「青果として販売するもの、加工品として活用するもの、あわせて100トンの生産を目指そう!」という大目標を掲げて取り組みをはじめ、この10年間で導入した苗木の本数はなんと10,000本!ようやくレモン産地としてあらたな地平が見えてきたような気がします。
しかしながら、ここまでの道のりはけっして平坦なものではありませんでした。導入当初、レモンは頑強な品種だろうとイメージしており、繊細な栽培管理は要求されないだろうと見込んでいました。しかし、実際に植えてみるとこれがなかなかの曲者品種。風のあたる畑では育たない、寒さに弱い。特に厳しい寒波がくると落葉して樹が枯死し、枯れるまでいかなくとも樹勢が大きく弱って回復までに何年もかかってしまいます。また、レモンの枝には鋭いトゲがあり、強風に吹かれると果実や葉に傷がついて病気が発生するので、それを抑えるために時期を見極めて防除をしなければなりません。甘夏のように手をいれずともどんどん大きくなるという品種ではなく、手間ひまをかけて管理しなければならなかったのです。
そんな状況にあっても、四苦八苦しながら作り方を心得ていくのが農家のえらいところ。多くの農家が取り組んだということもあって、2016年にはその生産量を大きく伸ばすことができました。しかし喜びもつかの間、その翌年には成り疲れをおこして収量が減ってしまいました。さらにその翌年には悪夢のような大寒波によって生産量が激減・・・なかなか思うようにはいかないものです。レモンの栽培は本当に難しいと肩を落としていた今期でしたが、植えた苗はしっかりと育ってくれるもの。寒波を乗り越えた苗木が収穫段階に入り、天候の良さもあいまってかつてない生産量を記録しました。その数たるや、青果・加工あわせて87トン!あと少しで当初の目標を達成する勢いです。しかも、今年は温暖だったので収穫を終えた樹のコンディションもなかなか良好。レモンの樹々はさらに成長して、来期はさらにその生産量を増やすことでしょう。
それにあわせて、販売に携わる事務局も動いています。青果品の販売拡大だけでなく、新しい加工品の開発も進めています。これまではシンプルに搾った果汁だけでしたが、果皮を使った商品開発を始めました。いま開発しているのは、レモンの果皮をミンチにして唐辛子とあわせた、辛味調味料「れもんコショウ」。まだ試作段階ですが、試食してもらった人にはなかなか好評です。うまくいけば今年の秋にはお披露目できる予定なので、楽しみにお待ちください。他にも、皮を蒸留して精油の抽出も行う予定です。yaetocoもそのラインナップを増やしていくことでしょう。果汁は「れもんストレート果汁」が好評なため、開発予定はまだありませんが、今後さらに増えることを考えると飲料や調味料なども検討をしておいた方がいいかもしれないなと思っています。
さて、そんなこんなで夢(妄想?)が広がる無茶々園のレモン事業。ようやく成果が見えはじめたので、しっかりとカタチにして地域の未来を拓く新しい要素に育てていきたいと考えています。これからもレモンを食べて使ってがっちりご支援いただけますと幸いです。
レモンと唐辛子と塩を練り合わせて作る辛味調味料「れもん胡椒」。
塩度や果汁の比率を変えて試作を進めています。
赤唐辛子の色がよくでています。
定番のれもんストレート果汁。とても人気があります。