ベトナム

ベトナムで生きる、働く(第6回)

2021.02.13

こんにちは、ベトナムのFarmers Union Venture(ファーマーズユニオン・ベンチャー)の髙埜太之です。「ベトナムの仕事と暮らし」をテーマに、私がここで行っている活動や暮らしている上で見たり感じたりしたエピソードをお伝えしております。今回は私たちが情熱を込めて取り扱っているカカオ豆についてお伝えしたいと思います。(5回目はこちらから)

 

私たちがカカオを取り扱い始めたきっかけ

私が暮らすベトナムの中部高原地域は、南部メコンデルタ地域、東部地域に続く、ベトナム3大カカオ産地のひとつです。これまで暮らす中で、カカオ農家を訪れる機会も多く、その度に彼らから「ここのカカオ豆は高品質なのに、あまり知られていない。」という言葉を伺ってきました。

ここの高品質なカカオ豆を、どの様に世界中の人たちに紹介していくのか。私はこの答えを、これまで私たちが他の生産物にも行ってきた、「生産者との強い信頼関係からできる生産・品質管理、トレーサビリティ」に見出す事にしました。こうして私たちはカカオ豆の取り扱いをスタートしたのです。

 

カカオと髙埜。

 

カカオとは

熱帯果樹の中でも特にカカオは繊細であり、赤道から南北の緯度20度までの「カカオベルト」と呼ばれる地域でのみ生育します。また、年間の雨量が2,000㎜、平均気温27℃以上、そして標高や地質など、世界的にも非常に限られた条件の地域でしか生育できない果樹です。

また、カカオの風味は品種や栽培と同じ以上に、発酵技術が重要となります。ベトナム産は栽培技術と共に、他の生産国と比べ、食品衛生面に加え発酵技術が優れています。この為、ベトナムは今後、更に高品質なカカオ豆を産出できるアビリティを持った国と言われています。

 

 

 

カカオの実。最上段は未熟のころ。成熟すると青くなります(3~4月)。

 

カカオの歴史

原産地である中南米では、紀元前1900年頃からカカオ豆を食用とし、その後のオルメカ文明の時代から栽培していた事が、マヤ・アステカ文明の遺跡から判明しています。当時は王族・貴族の間で滋養強壮飲料として用いられたほか、貴重だった為、通貨としても用いられたそうです。

その後16世紀の大航海時代に、スペイン人やフランス人がメソアメリカからカカオ豆を持ち帰り、上流階級の間でカカオ飲料が徐々に広まり始めました。そして今の「ココア」の原型が流行し、18世紀前後からは、西欧諸国はアフリカなどの植民地での栽培をはじめ、爆発的に生産量が増加しました。

 

果実の中から取り出し、乾燥させたカカオ豆と髙埜の手。

 

ベトナム産カカオの特徴とは

毎年パリで開催されるチョコレートの祭典、「SALON DU SHOCOLAT」での受賞をきっかけに、近年ベトナム産カカオ豆は注目され始めました。ベトナムのカカオは、独特の香りのクリオロ種と苦みの強いフォラステロ種を掛け合わせた、トリニタリオ種となります。

また、主な栽培地域は南部メコンデルタ、東部、そして我々が暮らす中部高原の3つです。ベトナムのカカオはベリー系の華やかな香りが特徴ですが、その中でも中部高原産は深い甘みと、強くスパイシーな風味の複雑な味が特徴です。まるでこの街の人々の特徴や文化とリンクしているようで、非常に面白いです。

カカオの風味は品種や栽培と同じ以上に、発酵技術が重要となります。ベトナム産は栽培技術と共に、他の生産国と比べて食品衛生面に加え、発酵技術が優れているというアドバンテージがあります。この為私は、ベトナムは今後、更に高品質なカカオ豆を産出できるアビリティを持った国であると確信しています。

 

発酵させている様子。

 

天日で乾燥させています。

 

それにしてもカカオと言う果樹は、特別なロマンと不思議な魅力がある植物です。どうやら私も、すっかりその魅力に取り憑かれてしまいました。これからも私はベトナムのカカオと世界中のショコラティエとの橋渡しとして、ベトナム中部高原産の素晴らしいカカオ豆や産物を世界に広めていきたいと思っています。

 

日本でチョコレートに加工したものを食べてもらう。

 

カカオ農家タムさんとともに。

 

私たちが送り出したカカオは、無茶々園を通して「nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO」さんに販売され、そこでチョコレートへと加工されます。興味をもっていただけた方は、ぜひ一度訪問して食べてみてください。

 

画像はnel CRAFT CHOCOLATE TOKYO「バレンタインコレクションボックス」。

 

【場所】

〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町3丁目-20-2 HAMACHO HOTEL TOKYO

nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO

https://nel-tokyo.jp/

 

 

 

今回はここまで。もしカカオについて質問があればお問合せくださいね。

(つづく)

ベトナムで生きる、働く(第7回)

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