春は海産物の新物が出始める時期。わかめなどの海藻類は冬に成長し、春に収穫を迎えます。気温の上昇とともに、磯場には海藻収穫をする人が見られ、ちりめん(カタクチイワシの稚魚を釜茹でして乾燥させたもの)は春漁が始まります。冬場に切り干し大根を干した後、しばらく何も載っていなかった干し網にちりめんが並ぶのは明浜の春を告げる風物詩です。
ちりめんは漁獲後海水で茹で天日干しします。
1991年からはじまった海の取り組み
無茶々園の海産物の歴史は1980年代までさかのぼります。婦人部として発足した『なんな会』が、その資金作りとしてちりめんを仕入れ、小分け販売したのが始まり。その後、1991年に網元祇園丸と提携し、本格的に明浜のちりめんの販売を開始しました。この年は機関紙『天歩』の定期発行が始まった年でもあり、台風19号の塩風害によって明浜全体の柑橘園が壊滅的な被害を受けた年でもありました。台風により海水が巻き上げられ、海沿いの園地を中心に多数の樹が枯死し、これ以降しばらくの間、温州みかんの隔年結果や、反収の減少に悩まされることになります。この台風被害は、明浜の地理的リスクを強く印象付けられ、みかん以外の販売の展開を考える契機ともなりました。
台風により塩害を受けたみかんの樹。
もともと明浜町は半農半漁の町。古くは昼に畑仕事をして夜に漁に出ていた土地柄で、今もちりめん漁や真珠養殖が行われている場所です。柑橘だけでなくこの地にはいいものがたくさんある、それをどんどん発信していこう。そんな思いもあって海産物はじめ柑橘以外の品目も増えていきました。
祇園丸の佐藤吉彦さんは、「無茶々園に加入して良かったのはいろいろな人と交流ができたこと。都会の消費者の人と交流ができて、明浜に来てもらって一緒にちりめん漁の船に乗ってもらったりもしたんよ。そうこうしよったら、2回目3回目と来る人も出てくる。そんな人達には前と同じ話をしたんでは面白うない。そう思うとつい『今度は新しくこんなことを始めたい』という半分ホラみたいな話をする。そうするとその人からいい話が聞けて良かったと手紙をもらったりして、それ見たらもっと努力せんと!って思うんよ」と言います。そうして、自分たちで山椒を植え加工まで行うちりめん山椒に取り組んだり、海の緑化活動としてわかめやひじきの栽培にも取り組んできました。
網元祇園丸の佐藤哲三郎さん(左)と吉彦さん(右)親子。
わかめの養殖。
ちりめん山椒の原料も自分たちで作ります。山椒収穫作業の様子。
収穫した山椒は、ちりめん山椒に。
環境の変化の中での新しい挑戦
そんな海産物ですが、近年は予測がつかないことが多くなりました。温暖化の影響もあって昔に比べ海水温は上昇。以前はこの時期にはこれが獲れるといったことが経験からわかっていたのですが、近年はそれが通じなくなっています。ちりめんも不漁が続いています。海藻も年によって成長せず、収量が落ち込むことが多々あります。磯焼けと言って藻場が減少していることが各地で報告され、高知の太平洋沿いでも著しい藻場の衰退が発生しています。明浜町ではまだ磯焼けは起きていませんが、年々北上してきているともいわれています。柑橘栽培も自然相手の為予想がつかないのですが、海産物はそれ以上。漁に出てみないと分からないことばかりです。この環境の変化の中で、海の自然を守る活動とともに、この地の水産業を衰退させないための新たな取り組みが必要になってきています。
このたび新しく発売した「だしパック」は規格外ちりめんの有効活用と、いりこだし文化のこの地ならではのだしを知ってもらいたいという思いから生まれました。「明浜で食べよるものをパック詰めした惣菜セットを作りたいんよ」という吉彦さん。新たな取り組みはこれからもまだまだ続きます。
明浜で獲れた魚だけを使い作っただしパック。
無茶々園の海産物
網元・祇園丸の作るちりめんをはじめとして、無茶々園では宇和海産の様々なこだわり海産物を取り扱っています。いりこ、ひじき、わかめなどなど。ぜひ一度お試しいただけますと幸いです。
※ちりめん山椒、塩蔵わかめ、食べるいりこは、2021年5月1日(土)~6月30日(水)発送分までセール価格です。
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