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(再掲)摘果みかんの使い途

2021.07.24

※この記事は2020年8月の記事を修正したものです。

 

みかん栽培で欠かせない作業といえば、収穫や肥料・農薬等の施用のほかに、剪定と摘果(てきか)が挙げられます。特に摘果は果実の数を間引きする作業ですが、収穫期の果実の大きさや品質を左右するだけではなく、みかんの樹を元気に維持していくためにも欠かすことができない大事な行程です。摘果を行うのは果実がまずまず大きくなった夏から秋にかけて。樹の状態を見ながら、成り過ぎている果実を手で間引きしています。夏の暑さのなか、ひとつひとつ地道に行っていく根気のいる作業です。

 

摘果する果実はちょうど育ち盛りの若い実です。温州みかんでは摘果が始まる7月上旬にはまだ指先くらいの大きさで切っても果汁は出てきません。7月下旬にはやっと果汁が溜まりはじめるものの甘みは少なく、逆にクエン酸などの酸味がピークになっています。8月にはゴルフボールくらいにまで大きくなり、果汁の量は増していきます。9月にはまだ酸っぱいながらもみかんらしい果肉が完成し、秋から冬にかけて成熟するまで糖度が高まっていきます。

 

 

この摘果みかん、無茶々園ではいろいろな形で出荷や加工を行っております。おなじみなのは以前「みかん酢」と呼んでいた「青みかん果汁」。8月下旬の温州みかんの摘果した果実を搾汁し、そのまま瓶詰めした商品です。温州みかんらしい香りと風味が出てくるものの、まだまだ酸味が残っており、レモンやゆずのように使えないかと商品化したものでした。皆さんに直接お届けしているのはこの「青みかん果汁」だけですが、これ以外にも摘果みかんを集め、主に加工用に出荷する取り組みを行っています。

 

まず一番手で採っていくのが6月下旬の育毛剤用の出荷。みかんの幼果に含まれる成分が髪や頭皮に良いらしく、もう長い間出荷を続けています。この時期はまだ本当に小さいため採れる重量は多くありませんが、早めに負担を軽くしておきたい成り過ぎの樹から採っていきます。7月から8月にかけては、温州みかんをサプリメントや機能性食品への加工原料用に出荷していきます。ちょうどみかんを摘果する一番の作業適期になり、間引きしながら果実を集めていく毎日。生食用柑橘のない夏の仕事です。8月下旬から9月上旬にはしっかり溜まった果汁の搾汁を行って、温州みかんの摘果果実利用はここで終了。あとはみかんの果実としての成長を進めてもらいます。

 

6月下旬ごろの摘果みかん。まだまだ小さい。

 

温州みかんだけではなく、中晩柑類でも摘果果実を利用しています。摘果伊予柑は化粧品や美容商品の加工用に、摘果ポンカンは機能性食品用にと、小さな果実を活用していく動きが広がっております。若い果実には機能性成分が多く含まれることから、摘果果実が注目されているのです。そして、昨年からまだ果汁が溜まり切っていない果肉を食材として利用しようとする、全く違う方向性での取り組みもはじまりました。果実の中では「砂瓤(さじょう)」という果肉の粒々が育っており、8月には張りのあるプチプチ感が出てきます。飲食店でこのプチプチした果肉を利用してもらおうと、伊予柑、ポンカン、ジューシーフルーツの三つの品種で摘果果実の出荷を行っています。柑橘の新しい活用方法を探る取り組みです。

 

通常の摘果作業では果実は地面に落ちるのみでしたが、こうして捨てられていた果実の利用が進むようになってきました。収入のない時期に少しでも出荷ができれば、みかん作りの助けにもなります。実は一般的な栽培では、農薬を継続して使用するために摘果果実を出荷することはできません。農薬の使用を抑えている無茶々園ならではの取り組みでもあります。

 

砂瓤(さじょう)。プチプチとした食感が料理に活用できそう。

 

最後に摘果みかんを活用した無茶々園の商品をご紹介。

青みかんの風味、香りを試してみたい方はぜひどうぞ。

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