無茶々園のかぼちゃの歴史は意外と長く、今年で16年目。はじめた当初は夏場に細々と出荷していたのですが、現在は冬場の出荷を中心に栽培。量も100玉ほどだった16年前に比べて昨年は約6000玉、今年はさらに増やして10,000玉の出荷を予定しています。
冬に出荷するかぼちゃの栽培は、8月に植え付けをして10月中旬から11月上旬に収穫。それから2週間以上風乾、貯蔵を行います。この貯蔵により余分な水分が抜けデンプン質が糖質に変わり、より甘く美味しいかぼちゃになるのです。長年の経験を活かし、品種や収穫時期の見極め、貯蔵方法など味や収量を上げるために研鑽を重ね、美味しく、長く販売できるようになりました。過去には9月ごろに台風が頻繁に襲来し、植え付けたかぼちゃが風で吹き飛ばされてしまったこともありました。しかし、近年は台風の発生も減少して進路も変わってきているため、安心して栽培面積を増やしています。
昨年から加わった兵頭剛さんは36歳。無茶々園のかぼちゃ生産者のなかで一番多く作っています。勤めていた会社の事業所が閉鎖してしまったので、それを期に実家の農家を継いだそう。継いだその年から面積を拡大、2年目にして親の代から2倍以上に増やしました。
お米の栽培がメインですが野菜作りも積極的に挑戦しており、無茶々園にはかぼちゃの他にそら豆も出荷しています。お米に関しては地元の人気生産者で道の駅や個人の販売で引っ張りだこ。残念ながら無茶々園に出す余力はありませんとのこと。美味しいお米がとれる土地の見極めができており、お米作りには自信満々です。その目利きをかぼちゃの栽培にも生かしていただきたいのですが、味には自信があるけど目標収量には及ばず苦戦中です。
次にご紹介するのは、ズッキーニ生産者としても登場した理論派生産者の山本泰旭さん(こちらも36歳)。現在、ほとんどのかぼちゃ生産者が選んでいるプリメラ117という品種は、山本さんが何種類ものかぼちゃを作り、味や収量、貯蔵性の検証を重ねた結果たどり着いた品種です。
品種の選定以外にも栽培方法を細かく検証しており、肥料、資材、水管理、収穫時期など語りはじめると1時間は止まりません。頑張っているものの、なかなかヒットが出ないのが悩みの種です。
今年は酷暑、干ばつ、長雨などの過酷な条件下で、おふたりとも収量を上げるのに悪戦苦闘中ですが、味の良いかぼちゃ作りを第一に、「めげずに」「前向きに」「着実に」面積を増やしている次第です。