おかげさまで、今年で無茶々園は47年目の春を迎えることができました。これも皆様方のおかげです。ありがとうございます。「新型コロナウィルス感染症」はやっと終息したかと思いましたがオミクロン株が拡大しつつあり、ウィルスとの共生はまだまだ続くようで上手につき合いたいものです。
昨年は、東京オリンピック・パラリンピックが賛否両論はありながらも開催され多くの感動と勇気を与えてくれました。また行動制限される中、1年8か月ぶりに東京へも出張することができました。一歩踏み出すことがそろそろ必要になってきたのかなと思います。徐々にではありますが、日常を取り戻し早くリアルな交流がしたいと願っています。
昨年はオンライン交流会が主流となった一方で、市内の小中学校の農業体験などが増えました。
さて、コロナ禍の2年間で、私たちの実践してきた産直という事業や運動が社会の一つのモデルとなったと実感しています。持続可能な地域社会へ(環境省の地域環境共生圏)、環境負荷を伴わない農林水産業へ(農水省のみどりの食糧システム戦略)、厚労省の社会保障も自助、共助、公助の組み合せへと転換しています。これは無茶々園の里のまちづくりがモデル化、社会化するということだと思います。
詳しく言うとすれば、一つ目として、持続可能な地域社会を創造すること、これまでにも増して環境にやさしい農業を目指す(カーボンニュートラル・農薬総量削減など)ことです。農水省のみどりの食糧システム戦略は持続可能な農業、環境負荷を与えない農業への転換、特に有機農業を2050年に全耕作面積の4分の1を目標にすることや持続可能な肥料(海外依存からの脱却)や、環境負荷を低減できる農業に対する価値の位置づけが明記されています。戦後の商業的単一化した儲かる農業戦略からの歴史的な方針転換だと言えます。無茶々園47年の活動そのものがモデルとして認められたといって過言ではありません。
さらに、二つ目として2020年12月に、労働者協同組合法が成立され、働き方や暮らし方、コミュニティの在り方も「協同労働」という運営に転換されるでしょう。コロナ禍で医療・介護従事者などエッセンシャルワーカーの重要性も再認識されました。暮らしを支えるワーカーがいなければ安心安全な生活はできないということです。
そして三つ目は、環境省の地域環境共生圏構想は無茶々園が都市生活者(消費者)の皆さんと培ってきた産直運動そのものを意味するものであると思うからです。価値ある消費(エシカル消費)です。ふるさと納税もその一つでしょう。消費することで社会がよくなる、役に立っているそんな購買活動です。うれしいことに、Z世代・ミレニアル世代の若者たちにも徐々に広がっているそうです。私が提唱しているコミュニティ産直(都市と田舎の地域づくり交流&事業)にも是非参画してほしいと願っています。
わけあり温州みかんをご購入くださり、ありがとうございました。あらためて消費者のみなさまの存在の重さを感じています。
無茶々園の取り組みが「世の中のモデルと言われるようになった」という事だと勝手に思っています。無茶々園の理念に「エコロジカルライフを目指す運動体」とあります。ひとりひとりの多様性を認め合いながら暮らしを楽しむ、自分らしい暮らし方をすることこそがコロナ後の目指すべき道なのではないでしょうか。斎藤幸平氏著「人新生の資本論」の中にあるように気候危機をとめ、脱成長しながらも生活が豊かになり(お金ではない)、余暇が増え、格差もなくなる、そんな社会が可能だとしたら本当にいいなと思っています。
さて、無茶々の里は昨年もいろいろありました。みかん山では、カメムシの大量発生の影響で多くの有機の温州みかんは落果するか、ジュース原料になるほかありませんでした。一方、無事収穫できたものは秋晴れ続きで糖度が高くおいしいみかんをお届けすることができました。
福祉事業は、学童保育、リハビリ特化型のデイサービス、訪問介護サービス、介護タクシー事業も順調に進んでおり、来春からは事業継承として、グループホームの運営にも挑戦していく予定です。福祉で働く仲間も80人、グループ全体で職員140人、関係する生産者176名になる見込みです。働く仲間が増え、地域の必要とされる困りごとを事業化し、無茶々の里のまちづくりが一歩一歩ではありますが進んでいます。
令和4年、無茶々園は設立50年に向かって無茶々園の2030年ビジョンを完成させます。目指すところは、FEC自給圏構想、エコロジカルな町づくりと変わりませんが、次世代のリーダーたちに託したいと思います。想像してみてください。この西予市明浜町の2030年の姿を!時間がゆっくり進み、だれもがのんびり生活している。ロボットや海外の人達もいっしょに生活している。リアルとバーチャルが共存し、人々の暮らしを豊かにしている。妥当な経済、妥当な賃金、妥当な暮らしが実現されている。これこそが、農水省や環境省が掲げている姿そのものと言えるのです。そんな社会を実現するためにも、多くの方たち(都市生活者や世界の人々)と「共感」し、つながることで少しずつ世の中が変わっていく。「気候危機」は待ってはくれません。今からやれる取り組みから始めましょう。そして共感の大きな輪でもって、「ワン・チーム」になれば思いは成就するはずです。共に努力しましょう。
無茶々園はこれからも「10年、20年後の未来の子どもたちのために、小さな多くの種まきをし、日本一の町づくり集団を目指します」どうか、皆様もこの田舎再生運動に参画して頂き、活力ある日本にしましょう。
株式会社地域法人無茶々園 代表取締役社長 大津清次