この冬は多くの大学生の方が農業研修に参加し収穫を手伝ってくれました。海外実習生の入国がままならず人手不足が顕著だった今期。本当に助かりました。その中の1人、鈴木清花さんの感想を紹ご紹介します。
大きいザックを背負って愛媛に初上陸し、野福トンネルを抜けた先に広がる段畑と海の絶景に目を奪われてから約10日間、毎日が濃く、本当にあっという間でした。ホームページやパンフレットなどで明浜の光景は何度か目にしていましたが、いざ実際目にした時の感動は衝撃的でした。湖のように穏やかなキラキラした海と、山の下から上まで続く段畑にオレンジに色づき始めているみかんの樹。その壮大な光景は、どこかの国の遺跡のようで、日本にもこんなところがあるのかと目に焼き付いています。
作業は主に温州みかんや柚子の収穫でした。私はこれまで農業実習の経験はあったのですが、柑橘類の作業は初めてだったので、たくさんの気づきがあり、とても新鮮で楽しかったです。特に柚子の枝にはするどいトゲがあり分厚い軍手で収穫したり、収穫したみかんを運ぶモノラックは小さなジェットコースターみたいだったりと、初めて知ること、見ることが多く、実習中常にワクワクしていました。最初は、大きな樹に無数についたみかん、しかもそれが段畑一面に広がった光景をみて、これを1つ1つ手作業で収穫すると知った時はかなり途方もない気持ちになりました。がしかし、作業を始めてみると、みんなとお話しながら、1本すべて取り終わった時の達成感を味わいながら、ハサミでぱちぱちみかんをとっていると、意外とどんどん進みました。そしてなんといっても、目の前に広がる海を眺めながら、波の音を聞きながら、農作業をすることはなかなかないので、海も山も好きな私にとっては最高の環境でした。
実習中、海の生産者さん(ちりめん、真珠、青のり)にお話を聞く機会もあり、海と山は密接に関係していることや、自然相手に一次産業で働く人々の強さを身に染みて実感いたしました。いろいろな方からのお話を通して、基盤になっているのは地域の人々の繋がりや思い、あたたかさであり、都会では感じられない大切なことが、ここの地域にはつまっていると感じました。この10日間を通して、“どう働くか、何を成し遂げるか”にとらわれすぎず、“どう生きたいか、どんな暮らしがしたいのか” を考える機会になりました。そして無茶々園で働かれている方々の生き生きとした姿に憧れました。今回学んだことを忘れずに、私もかっこいい百姓になれるよう精進いたします。
最後に見ず知らずの私をあたたかく迎えてくださった無茶々園の皆様、地域の皆様をはじめとする、お世話になりました全ての方にこの場をお借りして感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
農業研修は私たちの目指す「都市との交流」の入り口の1つ。こちらこそ、鈴木さんをはじめ来ていただいた皆さんへ感謝の気持ちでいっぱいです。3月上旬には地域づくり団体「かりとりもさくの会」と共同で計画したフリーワークスペースも無茶々園事務所のある、旧狩江小学校内に完成予定です。農業研修以外のつながりが生まれるかもしれません。詳細はまたご報告いたしますが皆さんもぜひ無茶々園に来てくださいね。